京王電鉄のランサムウェア被害|予約・決済に何が起きたか、復旧の状況

インシデント事例

予約や支払いの仕組みが使えなくなったら、どうしますか。

2026年9月26日未明、京王電鉄はグループのサーバーへのランサムウェア攻撃を確認しました。

鉄道の運行には支障がありませんでしたが、ホテルや店舗などの業務に影響が出ました。

ランサムウェアとは: データを勝手に暗号化して使えなくし、元に戻すための金銭を要求する攻撃です。

「大きなグループの話だから、自社には関係ない」と感じるかもしれません。

この記事は、中小企業の経営者や、IT専門の担当者がいない会社の方に向けて書いています。

読み終わる頃には、止まった業務、侵入経路の公表範囲、自社の点検方法がわかります。

内容は京王電鉄とグループ各社の公表資料をもとにしています。

原因や漏えいの有無は、2026年10月6日の取材時点で調査中です。

まず、京王で起きたことを数字で見てみましょう。

京王電鉄グループのランサムウェア被害を数字で見る

  • 攻撃を確認したのは 9月26日未明。同日に京王電鉄が公表
  • 取材で障害の告知を確認できたグループ会社は、京王電鉄を除き 7社。グループ全体の影響社数ではありません
  • 京王ストアは 4日後の9月30日 に決済方法の一部復旧を公表。京王ポイントは引き続き利用不可
  • 10月6日時点 でも、京王百貨店はシステムが完全復旧していないと公表

「一部復旧」は、すべて元どおりという意味ではありません。

京王電鉄グループのランサムウェア攻撃で何が起きたのか

京王電鉄は鉄道の運行に支障はないと説明しています。

一方、団体乗車券などのフォームやメールによる申込み内容を確認できず、電話での再申込みを案内しました。

列車が動いていても、利用者と接する窓口には影響が出ました。

京王プラザホテルは自社サーバーへの攻撃を公表しました。

問い合わせへの回答が遅れたり、返信できなかったりする場合がある一方、営業には支障がないとしています。

京王プレッソインは新規予約とメール・フォームでの問い合わせ受付を停止。

予約済みの客は宿泊でき、チェックインなどは対面のフロントで対応しました。

店の入口は開いていても、レジや会員カードが使えない状態に似ています。

京王ストアでは一部店舗の現金以外の決済や京王ポイントの付与・利用ができなくなりました。

京王百貨店でも一部売場の決済やポイント利用、友の会の手続きに影響が出ました。

京王観光はオンライン予約の停止を、京王バスは定期券発売窓口のカード決済障害を告知。

京王パスポートクラブも一部加盟店のポイント障害を知らせました。

これらの会社は原因に触れていません。

各社の障害を一律に攻撃の直接の被害とは断定できません。

時系列で見る

日付 公表された動き
9月26日未明 京王電鉄が攻撃を確認し、ネットワーク遮断措置等を実施。同日に公表
9月26日~28日 ホテルの新規予約、店舗の決済・ポイント、旅行の受付などの障害を各社が告知
9月30日 京王ストアが決済方法の一部復旧を公表。ポイントの付与・利用は不可のまま
10月2日 京王観光が「旅箱」のバス旅・宿泊商品の受付を一部再開。カウンターの新規予約は停止中
10月6日13時時点 京王百貨店が問い合わせフォームと友の会手続きの復旧を公表。完全復旧には至らず

復旧は会社ごと、機能ごとに進みました。

京王電鉄は、9月25日17時以降にフォームやメールで受けた団体乗車券などの申込み内容を確認できないとして、電話での再申込みを案内しました。

同じような経過は、サイバー攻撃の事例一覧でも確認できます。

犯人はどうやって入り込んだのか(公表されている範囲)

侵入経路は公表されていません。 京王電鉄は、外部専門家と攻撃の経路や被害を調べていると説明しています。

確認されたのは、グループのサーバーへのランサムウェア攻撃です。

どの機能が暗号化されたか、攻撃者が誰か、身代金の要求があったかは公表されていません。

京王プラザホテルは「当社のサーバー」への攻撃と書き、京王プレッソインは「京王グループのサーバー」への攻撃の影響と書いています。

読売新聞の報道によると、鉄道運行システムのサーバーは別系統です。

京王電鉄自身の発表は、運行に支障がないという説明にとどまります。

運行が続いた理由を、当事者の確定した調査結果としては扱えません。

どれくらいの被害が出たのか

情報漏えいが確認された件数や人数は、公表されていません。 京王電鉄は、漏えいの事実は現時点で確認できていないとし、顧客情報などの流出を含めて調査しています。

「漏えいはなかった」という結論ではありません。

「漏えいのおそれ」として示された件数もありません。

  • 予約・申込み: 京王プレッソインの新規予約、京王観光のオンライン予約、京王電鉄の団体乗車券など
  • 支払い・ポイント: 京王ストアと京王百貨店の決済・京王ポイント、京王バスの定期券発売窓口のカード決済
  • 問い合わせ: 京王電鉄のフォームは回答に時間がかかり、京王プレッソインと京王ストアでは障害前の問い合わせも確認できない状態

連絡先を書いたノートを開けなければ、返事を待つ相手にも連絡できません。

問い合わせの仕組みが止まる影響は、受付停止だけではありません。

参考: 被害額と停止期間の集計値は公表されていません。

2026年10月6日の取材時点で、業績への影響に関する公表も確認できていません。

京王電鉄グループの対応から学べること

京王電鉄は確認当日、ネットワークの遮断措置等(被害が広がらないよう通信を止める対応)を講じ、警察に通報しました。

外部専門家と経路や被害を調べています。

京王ストアはレシート保存を案内し、京王パスポートクラブは失効予定のポイントを後日使えるようにすると知らせました。

顧客への案内も、使える手段に合わせて変わりました。

ビジネスジャーナルの記事では、専門家が、鉄道運行が守られたのは系統の分離(運行用の仕組みと、それ以外の業務用の仕組みを分けておくこと)が機能した結果とみるのが自然だと述べています。

これは第三者の見方であり、京王電鉄の調査結果ではありません。

自社の点検につなげるなら、次の点が手がかりになります。

  • 止まっても続けるべき業務を先に決める
  • 予約・決済・ポイントがどの仕組みに頼っているか確かめる
  • フォームやメールが読めないときの連絡方法を用意する

京王電鉄とグループ各社の再発防止策は、取材時点で公表されていません。

自分の会社を守るために、今できること

今日の3問

保守会社やIT担当者に、次の点を聞いてください。

どちらもいない場合は、予約や決済の仕組みを提供している会社の窓口が相談先です。

  • 予約、決済、問い合わせのうち、止まると営業に困るものは何か
  • フォームやメールを読めないとき、申込みをどう受け直すか
  • 一部だけ復旧したとき、使える機能を誰がどう案内するか

答えを紙に残すところから始められます。

後で確かめたい項目もあります。

  • 予約や申込みの状況を別の方法で確認できるか
  • 現金や対面対応で続けられる業務があるか
  • ポイントの後日対応に必要な記録を残せるか
  • メールやフォーム以外の連絡先を顧客に伝えられるか
  • 復旧の途中で使える機能を分けて告知できるか

自社の確認項目は、セキュリティチェックでも整理できます。

外部に診断を頼む場合の費用感は、料金案内で確認できます。

答えられない項目が1つでもあれば、今週中に保守会社へ点検を依頼してください。

参考にすべき一次情報・公的資料

影響と復旧の範囲は、各社の公表を分けて確かめられます。

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